Columnコラム

「経営者うつ」にならないためのセルフケア

Column

「経営者うつ」という言葉をご存知でしょうか。
うつ病やうつ状態は、経営者や上級管理職の間でも決して珍しいものではありません。むしろ、日常的に強いストレスやプレッシャーと向き合い、「休むこと」や「弱音を吐くこと」が許されない環境に置かれがちな経営者ほど、メンタルヘルス不調のリスクは高まります。

本コラムでは、経営者うつの特徴や背景、予防のためのセルフケア、そして「経営者が自分を守る」ために知っておくべき知識と実践的なヒントを詳しく解説します。

経営者うつの特徴と背景

経営者うつは、一般的なうつ病と同じく「気分の落ち込み」「意欲の低下」「睡眠障害」「食欲不振」「自己否定感」などの症状が現れます。しかし、その背景や発症要因には経営者特有の事情があります。

  • 慢性的なストレスの蓄積
    組織のトップとして、常に結果責任や人間関係、資金繰り、事業戦略、法的リスクなど、多くの課題を同時並行で抱える日々が続きます。
  • 過度な責任感・完璧主義
    「自分がやらなければ」「絶対に失敗できない」といった責任感や完璧主義的な思考が、自分を追い詰めます。
  • 相談できない・孤立感
    コラム3でも述べた通り、周囲に弱音を吐けず、悩みを抱え込みやすい環境がうつ状態を悪化させます。
  • プライベートの問題が絡むことも
    家族の問題や健康不安、事業承継、個人保証など、プライベートと密接に絡む悩みがメンタルの負荷を高めます。

経営者うつがもたらすリスク

経営者自身のうつ状態は、個人の健康問題にとどまらず、組織全体に甚大な影響を及ぼします。

  • 意思決定の質の低下
    判断力や集中力が低下し、重大なミスや誤った経営判断につながるリスクがあります。
  • 組織の士気低下
    経営者の元気がなくなると、自然と組織全体の雰囲気が暗くなり、社員のモチベーションや生産性が低下します。
  • 最悪の場合、事業継続自体が困難に
    うつが重症化すると、経営者自身が事業を続けられなくなり、廃業や倒産に至るケースもあります。

経営者うつを防ぐためのセルフケアのポイント

経営者は自身のメンタルヘルスを「自己管理」の一部として捉え、日常的なセルフケアを習慣化することが重要です。

  1. 睡眠を最優先にする

「睡眠負債」はあらゆるメンタル不調の最大の要因です。
毎日7時間前後の睡眠を確保し、就寝前はスマホやPCを早めに切り上げ、できるだけリラックスできる環境を整えましょう。
眠れない時は、医師や専門家に早めに相談することも大切です。

  1. バランスの良い食事・適度な運動

栄養バランスの良い食事と、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動は、ストレスホルモンを下げ、脳の回復力を高めます。
忙しい時ほど、食事を抜いたり、運動を後回しにしがちですが、「最優先タスク」としてスケジュールに組み込むことをおすすめします。

  1. 趣味や家族との時間を意識的に持つ

仕事以外の世界に意識を向け、趣味や家族・友人との時間を大切にすることで、脳や心の「休息」が得られます。
「遊び」や「休息」は決して無駄ではなく、むしろ生産性や創造性を高める投資です。

  1. 気持ちを言語化する習慣を持つ

悩みや不安、ストレスを紙に書き出したり、信頼できる相手に話すことで、気持ちが整理され、客観的に自分を見つめることができます。

  1. 専門家の力を借りることをためらわない

うつ症状が疑われる場合や、心身の不調が長引く場合は、専門の医師や臨床心理士・公認心理師に早めに相談しましょう。
「経営者だからこそ、専門家の力を借りて良い」のです。

経営者うつの予防事例

  • X社長(60代・老舗企業)
    長年の激務とプレッシャーで、「何もかも投げ出したい」と感じるように。家族に打ち明けて初めて心療内科を受診し、休職を経て復帰。現在は週1回のカウンセリングとウォーキングを習慣化し、「自分を守ることが会社を守ること」と実感している。
  • Y社長(30代・スタートアップ)
    売上不振と資金繰りに追われ不眠状態に。経営者専門のメンタルサポートを受け、「他人に頼ること」「休息を取ること」を学び、事業も回復軌道に。

「休む勇気」を持つ重要性

「休むこと」は決して怠けではありません。むしろ、経営者の最重要タスクの一つです。
うつ状態が進行すると、適切な判断や行動ができなくなるため、「自分のため、会社のために休む」という視点が必要です。

まとめ:経営者が自分を守ることは組織を守ること

経営者うつは、気合や根性だけでは乗り越えられません。日々のセルフケア、早めの専門家相談、そして「自分を大切にする心」を持つことが、長期的な経営力の源です。
自分を守ることが、会社と社員、そして家族を守ることにつながります。

どうか、「経営者だからこそ、まず自分を大切にする」ことを忘れず、健やかなリーダーシップを育んでください。






テレワークで困ったときに読む本 設計・運用・メンタルヘルス対策(中央経済社)好評発売中



※画像をクリックいただくとAmazonにて購入することができます。



※先輩に聞いてみよう! 臨床心理士の仕事図鑑(中央経済社)好評発売中



※画像をクリックいただくとAmazonにて購入することができます。



※図解ストレスチェック実施・活用ガイド(中央経済社)好評発売中

※画像をクリックいただくとAmazonにて購入することができます。



※なぜストレスチェックを導入した会社は伸びたか?(TAC出版)好評発売中


※画像をクリックいただくとAmazonにて購入することができます。

※公認心理師必須センテンス(学研メディカル秀潤社)好評発売中


※画像をクリックいただくとAmazonにて購入することができます。



ストレスチェックQ&A まとめページはこちらから。




ストレスチェック制度Q&A冊子を
無料プレゼント実施中です。

下記資料請求フォームよりお申し込みください。

    資料請求フォーム

    *印は入力必須項目です。

    ストレスチェック制度Q&A冊子

    reCAPTCHA で保護されています。プライバシー 利用規約

    お問い合わせ

    各種ご相談承ります。お気軽にご相談ください

    TEL 03-4400-1277

    受付時間 9:00 - 18:00 [平日]

    Contact

    Pick up

    あなたの会社は大丈夫?ストレスチェック義務化について詳しくはこちら