今日は臨床心理士・産業カウンセラー的な心理学的(特に認知行動療法的)な視点から書いてみようと思います。
さまざまな問題が起きた時よく「原因はなんだ?」と考えるかと思います。
原因を追究して、対策を立てる。
ある意味間違いではないのですが、原因を追究するあまり、解決から遠ざかってしまうケースもあります。
特にメンタルヘルスに関連する問題はその傾向が多いように感じています。
例えば、
「会社に行く電車で一度発作が起き、それ以来電車に乗られずに出社できなくなった」
方のケースを考えてみましょう。
原因を追究する考え方
・なぜ発作が起きたんだろう?
・成育歴に問題があったんだろうか?
・親の教育環境が悪かったのだろうか?
等と論じることはできるのですが、なかなか解決策にはたどり着きません。一方
維持要因を追究する考え方
・出社できないという状態はなぜ維持されているのか
→電車に乗ることができないから
・電車に乗ることができないという状態はなぜ維持されているのか
→電車に乗ると発作が起きるかもしれないと考えているから(専門的には予期不安といいます)
・発作が起きてしまうと考え続ける状態はなぜ維持されているのか
→1度発作がおこってから1度も電車に乗っていないから
という風に考えられ、きちんとリラクゼーション法などを体得したうえで、少しづつ電車に乗る訓練をすることで最終的には出社へと導く方針を出すことができます。
原因という過去に焦点をあてるのではなく、現在も問題が維持されているという維持要因に焦点をあてることにより、解決策に近づけるケースも多いように思います。
問題の対処でいきづまったときなど、一度維持要因という現在の要因に目を向けていただければと思います。
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