臨床心理士として企業でカウンセリングなどをしているとよく聞かれるのが
「ストレスに強くなる(あるいは強くする)方法はないですか?」という質問です。
ストレスに強くなるという定義が多義的で中々難しいのですが、そのような時によく「ストレス免疫訓練」というのをご紹介することがあります。
今回のコラムではストレス免疫訓練を少し解説したいと思います。
ストレス免疫訓練とは何でしょうか?
心理学辞典(有斐閣)によると、
広義には、ストレスに対する適切な対処(コーピング)行動を身につけるとともに、ストレスに関連する諸問題を予防するための行動を学習し、健康な生活習慣を獲得することをねらった指導プログラムをさす。
自律訓練法や筋弛緩法、呼吸法等を用いたリラクセーション・トレーニング(弛緩訓練)による心身の機能調整、ストレス刺激の脅威性や対処可能性の評価の修正、個人に応じた対処行動の積極的獲得、新しい問題解決法や社会的スキルの習得、刺激統制(スティミュラス・コントロール)と環境調整といった多面的な指導によって、いわばストレスへの「免疫力」を高めようとする指導法である。
一方、狭義には、マイケンバウム(Meichenbaum, D.1985)によって提唱されたストレスに関連する諸問題の解決のための治療パッケージをさす。ストレス・モデルの教授 = 学習に始まり(教育の段階)、リラクセーション法や社会的スキルの獲得といった行動的対処、および否定的な自己陳述の修正といった認知的対処の方策を治療セッションのなかで獲得し(リハーサルの段階)、それらを実生活のなかで実践することができるための援助を行う(適用訓練の段階)という多段階のプログラムが構成されている。
という定義になっています。
少し難しいので、マイケンバウムのストレス免疫訓練について、実際にどのように実施しているのか簡単に解説したいと思います。
ストレスに関する状況、問題点を明確にし、概念化を行います。
特にこころ・からだ・かんがえの関係を理解することが大切です。
リラクセーション法などの現実的問題解決法を学びます。
第二段階で身に着けた様々な技法を現実場面で試したり今後に向けてのシュミレーションを行います。
上記三段階を経て日常生活で適応するというプロセスを経るのです。
日本でもストレス免疫訓練を行ってくれるクリニックやカウンセリングルームが増えてきました。
ストレスに悩んだ時は一度ストレス免疫訓練のことを思い出してみてください。
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