2015年12月より労働安全衛生法が改正され、企業に従業員に対してストレスチェックを実施することが義務付けられました。本コラムでは、「ストレスチェックやメンタルヘルス対策はコスト?それとも…」というテーマで解説していきたいと思います。
ストレスチェック制度が始まった時に経営者の方に感想を聞いてみると多く出たのが、「また企業に対して負荷が増える」という意見でした。確かに新しく義務化された制度なのでまず初めにそのように感じてしまうのは、経営者としては当然なのかもしれません。
しかしながら、一度でも社内でメンタル不調で休まれた社員がいる経営者の中には、もしもこれでメンタル不調者が減るのであれば、むしろ積極的にやりたいとおっしゃっていただける方もいました。
この違いはとても大きいと考えています。
ではストレスチェック制度をはじめとしたメンタルヘルス対策は単にコストなのでしょうか?少し古いですが、ある研究結果をご紹介したいと思います(「なぜストレスチェックを導入した会社は伸びたのか?」TAC出版を引用)。
『平成16年度厚生労働科学研究費補助金(労働安全衛生総合研究事業)「労働者の自殺リスク評価と対応に関する研究」分担研究報告書』という資料を見ますと、メンタルヘルス対策を実施することで、メンタル疾患による休業日数が56%低減しています。
また、自殺率(本来はゼロがよいのですがなかなかそうもいきません)も、1万人当たりの世間平均と比較して、如実に低下しています。
さらに、「カウンセリング等にかかったといったメンタルヘルス対策の費用」に対して、1.4倍の便益(従業員が欠勤するなどして、失ってしまう時間といったことが回避されるメリット)があったと報告されています。
しかも、この研究で報告されている便益については、「休職日数の低下」のみに絞ってまとめられていますが、アメリカの研究に当てはめれば、休職日数の低下以外にも定性的な効果が見込め、実際にはもっと大きな便益があったと考えられます。
私は日ごろから、『メンタルヘルス対策は費用対効果(ROI:Return on Investment)が2倍の経営施策である』と、お伝えしています。
もちろんそれだけでなく、「メンタルヘルス対策に取り組んでいる企業=社員を大切に考えている企業」という意識も伝わり、会社のイメージアップにもなるという利点もあります。
経営に関する施策で、「2倍の費用対効果が生まれる」というものは、そうはありません。たとえば賃金制度を変更することでは、どれぐらい費用対効果が生まれるでしょうか? 給料を倍にすれば売上が倍になる? もちろんそんなデータは残念ながらありませんから、検証されていないのが現実だと思います。
しかし、さきほどもお伝えした通り、『メンタルヘルス対策は費用対効果が2倍の経営施策である』ということには、検証されたデータが存在しています。間違いなく、メンタルヘルス対策は費用ではなく投資なのです。このようなリスクの少ない確実な投資をどうして実施しないのでしょうか?
ストレスチェックもメンタルヘルス対策の一つです。まだこの経済効果については実証されていませんが、確実に投資として企業がやっていってほしいなと考えております。
まだ多くの企業でこのストレスチェックが義務化されたことを認識していません。本コラムを読んでぜひストレスチェックをうまく導入してください。
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