平成27年12月1日より、労働安全衛生法の一部を改正する法律が施行され、その中で企業には従業員に対してストレスチェックの実施が義務付けられることとなりました。本シリーズでは、隔月でこの大きな変更について解説していきたいと思います。一部では認知率が5%しかないと言われている、この法改正ですが読んでいただくことにより正しい知識と対応ができるようになります。今回は基本的な内容を知りたいという声にお応えして、ダイジェスト版です。
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ストレスチェックとは、紙で実施するアンケートのようなものです。さまざまなストレスチェックが世の中には存在しますが、厚生労働省が今回推奨しているものは57項目で、約5分ほど回答に時間がかかるものとなっています。
アンケートに答えることにより、従業員の人は今の自分自身のストレスの状態がわかり、その結果ストレスに対する気づきを促すことを目的としています。
今回義務化となるのは事業所単位で50名以上の事業所です。50名未満は努力義務とされています。注意が必要なのは、この50名に短期雇用のアルバイト等も含むということです。また、仮に50名未満で努力義務といっても、もし何らかの事案で裁判になった時努力義務を果たしていなかったと判断されますので、少ない会社ほどストレスチェックを実施しておいたほうがよいでしょう。
ストレスチェックを実施しないことへの直接の罰則規定はありません。しかしながら、ストレスチェック実施にあたり、衛生委員会での審議が義務付けられました。衛生委員会を適切に運用しない場合50万円以下の罰金が科せられます。間接的に罰則があるとともに、会社としても義務を果たしていない場合裁判などでとても不利になるのでストレスチェックを実施していたほうが無難でしょう。
今回の法改正では事業主に実施は義務付けられましたが、従業員は受けても受けなくてもOKということになりました。事業主がストレスチェックを受けないことで処罰しようとすると法律違反となってしまいますので運用上は注意が必要です。
今回の法改正では医師また保健師等がストレスチェックの実施者になる必要があります。また結果を閲覧し、医師または保健師が記名押印が必要なことも注意が必要なポイントです。
法律で求められているのは年1回以上の実施です。そのため、2015年12月〜2016年11月末日までに必ず1回は実施しなくてはいけないこととなります。当事務所では、できれば年2回繁忙期と閑散期の2回実施することをおすすめしています。そのことによりより会社で働く人のストレスの状況を正確に把握することができるからです。
労働者個人の結果は、労働者が同意しない限り会社は知ることができません。会社が知ることができるのは、全体のデータの分析(厚生労働省では集団的分析と呼んでいます)のみとなります。もちろん労働者が同意すれば個人の結果を会社は知ることができますが、同意を取るタイミングは、労働者がストレスチェックの結果を知った後以後でないといけないというのは注意が必要です。
今回の法改正によるストレスチェックでは、性格検査や適性検査を含めることは不適当とされています。事業主としてはどうせ従業員にアンケートをとるのだから同時にいろいろと調査項目を増やしていきたいという気持ちがある場合もあるのですが、今回のストレスチェックに含めないほうがよいでしょう。またストレスチェックの提供業者によっては、いろいろな性格検査や適性検査も同時にできますよと提案するところがあるかもしれませんが、厚生労働省では勧めていないことも知っておいていただきたいポイントです。
ストレスチェックの提供業者として、当事務所のような臨床心理士・社会保険労務士事務所や健康診断機関、EAP機関があります。値段やできること提供しているストレスチェックの内容にばらつきがありますので、本シリーズで得られた知識をもとに御社に適切なものを選択いただければと思います。もちろん当事務所でもご相談に乗ることができます。
今回はストレスチェックについて基本的な項目をQ&A形式でお伝えいたしました。新しい法改正ですので理解の一助になれば幸いです。
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